目次
概要
不動産投資をする場合に一番問題になるのは、資金調達をどうするのか?ということだと思います。
通常、手持ちの現金で払える人はまずいないかと思いますので、ほとんどの人が借入れによって資金調達します。
住宅ローンは、自分が居住するためのマンションや戸建に対する借入れであり、通常給与収入が返済原資になるのに対し、不動産投資は、そもそも自己の居住用ではなく、不動産投資から入る賃料が返済原資となりますので、不動産投資は、アパートローンという住宅ローンとは別のローンになります。
つまり不動産投資には、住宅ローンは利用できないということになります。
アパートローンについて
住宅ローンとの併用は可能?
例えば、既に住宅ローンを借り入れているサラリーマンが不動産投資をする場合には、アパートローンの借り入れは可能でしょうか?
結論から言うと、住宅ローンを既に借り入れていたとしてもアパートローンを借りることができます。
住宅ローンは給与収入等から返済するのに対し、アパートローンは基本的に賃料収入から返済しますので、返済原資が異なりますから、両方の借入れが可能となります。
しかし、アパートローンの返済原資となる賃料は、物件の立地条件や入居率によって変動しますので、アパートローンでは事業計画とともに、その方の属性や資産内容が重視されます。
尚、もし不動産投資に賃貸用部分と自己の居住用部分が併用している場合には、原則として自己の居住用部分については住宅ローン、賃貸部分についてはアパートローンで資金調達することになります。
住宅ローンとの相違点
不動産投資におけるアパートローンは、住宅ローンと比較すると次の点が異なります。
アパートローンは、住宅ローンに比べて金利が高めです。
2.団体信用生命保険
住宅ローンの場合、原則団体生命保険の加入が義務づけられていますが、アパートローンの場合には団体生命保険の加入は基本的に義務ではありません。これはアパートローンが相続対策の目的で利用されることがあるからです。
尚、団体信用生命保険とは、借り入れた人が亡くなった場合に、借入金が全額返済され、相続人に借入金の返済義務がなくなる生命保険のことです。
3.連帯保証人
団体信用生命保険の加入が義務ではないのに関連して、アパートローンでは事業承継予定者を連帯保証人としなければならない金融機関が多いです。
4.借入期間
住宅ローンの場合、最長35年としているところが多いですが、アパートローンの場合、借入期間の最長を耐用年数(但し、最長35年以内)としている金融機関が多いです。
尚、税務上の耐用年数は、住宅用の場合、物件がRC(鉄筋コンクリート)のときには47年であり、木造のときには22年です。しかし、物件がRCのときは、耐用年数よりも短い35年を最長の借入期間としている金融機関がほとんどです。一方、木造のときの借入期間は、耐用年数である22年が最長ということになります。
5.年収基準
住宅ローンの場合も、年収基準は基本的にありますが、自己の居住用の借入れですので、割と条件は緩いと思います。一方、アパートローンの場合には、万が一賃料で返済できなくなった場合のこと等を考慮してか、年収700万円以上としている金融機関が多いです。
今後のアパートローンの方向性
最近話題になった静岡に本店のあるスルガ銀行は、報道によれば、業者と共謀して借入れする人の預金通帳の残高を改ざん等して、本来借りることができないローンの金額を貸し出していたようです。
このため、スルガ銀行の不正融資問題を受けて、今後各金融機関は、金融庁の指導の下、アパートローンの審査を厳しくする可能性があると思われます。
例えば自己資金の割合を上げるような対応は、十分考えられると思います。
また住宅ローンと違い、アパートローンは融資条件が景気やその時の時代背景によって変わりやすいですので、常にアンテナを張って情報収集されることをお勧めします。