目次
まずはじめに
アパート経営で一番大事なことは空室を防ぐことです。1ヵ月、2ヵ月そして3ヵ月以上空室になれば、大家さんは気が気ではない状況になります。
ましてや借入金を抱えている大家さんにとっては、それこそ夜も眠れなくなります。
急に空室になってしまって、準備すらできず空室になってしまうこともあるかと思いますが、3ゕ月以上空室になることは何としても防がなければなりません。
それなら、家賃を下げて何とかしようかと考えがちですが、まずは家賃を下げる前に、次の5つのポイントを検証してから、家賃の値下げを検討するようにしてください。
入居者は単に家賃が高い安いだけで、アパートを借りるかどうか決めているわけではないのです。
(2)間取りが入居者のニーズに合っているかどうか?
(3)設備は充実している?
(4)募集の仕方はどうか?
(5)家賃が適正かどうか?
一般的に空室の多いアパートは、汚い・古い・高いの場合がほとんどです。
以下この5つのポイントを考えてみましょう。
空室対策5つのポイント
(1)建物が魅力的かどうか?
まず、入居を検討している人にとって建物の第一印象が悪ければ、入居の検討の対象にはなりません。
大家さんは、ご自身で、自分の建物をもう一度客観的に見てください。魅力的に感じますでしょうか?
ある大家さんは自分のお孫さんに見てもらって、感想を聞きました「おじいちゃん、僕はこのアパートには絶対入らないよ」と言われてショックを受けてしまったそうです。
そこで考え直し、外装や入り口はもちろん、内装もリファームしました。その結果すぐに入居者が決まったとのことでした。
建物は、決して豪華にする必要はありませんが、少なくとも清潔でなければ、入居検討者は見向きもしてくれません。
特に建物の入り口、玄関は重要です。
入居検討者はインターネットなどで他のアパートを十分検討したうえで、あなたのアパートを見に来たのです。
大家さんはご自宅にお客様を迎えるときと同じような気持ちで、アパートを可能な限り魅力的にしてはいかがでしょうか。
(2)間取りが入居者のニーズに合っているかどうか?
部屋を広くすることは物理的にはできませんが、間取りを変更することは可能です。
人気の間取りは、時代や地域、入居者のニーズの変化によって変わることがあります。
部屋の間取りの見直し、バス・トイレ、キッチン、そして安全性が保持されているかどうかも常にチェックしてください。
入居検討者が必ずチェックするポイントです。特に女性のお客様の目線は厳しいです。
入居者のニーズに合っていなければ、大家さんのアパートは空室が続く可能性が高くなります。
(3)設備は充実しているか?
アパートは建てて10年も経過すると、当然設備は古くなります。消耗したり、故障したり、あるいは時代に合わなくなってしまう場合もあります。
特にバス・トイレ、キッチン等の水回りは、傷みが激しく、ときには使用すること自体が不自由になることもあります。
一般的に、自分で使用するより、他人が使用するほうが消耗は激しいものです。
使い勝手が悪ければ、入居者は当然文句を言います。素早く対応して修理をしなければ問題がこじれ、ときにはそのまま出ていく可能性もあります。
入居者のほうからすると、「お金を出して借りてるのだから」というお客様意識があります。
この場合、大家さんはどちらに原因があったかということには、あまりこだわらないほうがいいかと思います。
なぜなら、たとえ大家さんの言い分が正しかったとしても、入居者が納得することはまずないでしょう。
早く直すことが先決です。
ところで、アパートの設備については、次の点をチェックしてみてください。
②お風呂場にシャワーが設置されているか
③クーラーが設置されているか
④鍵のセキュリテー対策をしているか
「そんなに設備にお金をかけて、採算が合うのか」と思うかもしれませんが、この4つの点がしっかりしていないと、入居者にとって魅力的な物件にはならないのです。
もし、この4つの点がしっかりしていない場合には、そのアパートは空室になってしまう可能性が高くなります。
なぜなら、今の入居者は、子供のときからシャワー、トイレ、クーラーは当たり前で育ってきているからです。
ところで、トイレをウォシュレットにするかどうかは、現在では、あまり議論の余地はなくなってきています。
数年前までは、「そこまでする必要はない。それに故障したら・・・」と、多くの大家さんがためらっていました。
しかし、今の入居者は、借りる物件を決める条件として、トイレがウォシュレットであることも選択肢の一つとしている人が増えてきています。
物件の付加価値をつけるという意味でも、トイレがウォシュレットでない場合にはウォシュレットに変えることも検討してみましょう。
(4)募集の仕方はどうか?
①不動産会社に任せきりにしない
通常、大家さんは入居者募集を不動産会社に任せているケースがほとんどだと思います。
しかし、それだけでは物件の露出機会に限界があります。
物件の露出機会を増やし、一人でも多くの人に物件を知ってもらえれば成約する可能性が高くなります。
そのためには、どうしたらいいでしょうか?
それには、物件を宣伝するセールスマンを増やす必要があり、まずは大家さん自身が率先して宣伝マンになることが必要です。
次に空室がでているアパートに今住んでいる入居者に宣伝マンになってもらい、協力を仰ぐことも必要です。
そのためには、ご成約いただいた場合には、ご紹介してくれた入居者にちょっとした謝礼をお支払いするような「紹介制度」のようなものを導入するのも良いかも知れません。
入居者にとっても、自分の知らない人よりも知っている人が入居してくれたほうが安心できますし、一方で紹介をうけた人にとっても、実際に住んでいる入居者のリアルな感想を聞けるということは大きなメリットです。
入居者は、その借りている物件の良い面と悪い面の両方を知っていますので、究極の営業マンとも言えます。
②第一印象とちょっとした工夫で成約率アップ
このように不動産会社に任せきりではなく、宣伝マンを増やす等の方法により、物件の露出機会が増えてきた場合には、必然的に内見数も増えていきます。
ここから成約までこぎつけるには、いかに部屋や建物を魅力的に見せられるかということが、成約率アップのカギとなります。
ポイントとなるのは、第一印象で、その基本にあるのが、物件の清潔感です。
つまり、大家さんがやるべき最初の対策は、普段から共有部分等を掃除したりすることであり、これだけでもそのアパートの第一印象は違ってくるものです。
さらにその第一印象をさらに良いものにするには、例えばエントランスにお花を置くような工夫も必要でしょう。
エントランスにお花があるだけで華やかに見えますし、気分も明るくなります。
この場合、お花は決して価格が高いものではなく、安いもので十分です。
ただし、造花ではなく、できれば生花を飾るようにしましょう。風水的にも造花はあまりおすすめできないと思います。
また、おもてなしの心も大切です。
スリッパを大家さんが用意したり、内見の時にテーブルの上にお花があったり、クロスが1枚敷いてあるだけでも、内見者の印象は大きく変わってくるものです。
このように大家さんがご自分でできる、ちょっとした工夫で充分です。
大切なのは、大家さん自身が、もしも自分がこのアパートに住んだみたら…という内見者目線での気持ちです。
そうした大家さんの内見者目線での様々な気遣いやおもてなしの心によって、アパートの賃貸契約の成約率は確実にアップしていくでしょう。
(5)家賃が適正化かどうか?
さて、家賃を下げる前に考える空室対策の5つのポイントの最後は、最も重要な「家賃は適正か?」ということです。
もちろん、前述しました
(1)建物が魅力的かどうか?
(2)間取りが入居者のニーズに合っているかどうか?
(3)設備は充実しているか?
(4)募集の仕方はどうか?
についても重要ですが、これらを考慮しても入居者が見つからない場合には、家賃が適正でない可能性が高いと言えます。
家賃を下げることについては大家さんは不安になります。
「以前から入居している人とのバランスがとれなくなる」
「経営的に大丈夫なのか?」
「もう少し様子を見て、従来の家賃で入居してくれる人が来るまで待つか・・・」
いろいろ心配する気持ちは分かりますが、一番大事なことは空室の期間をなるべく短くすることです。家賃を下げてでも部屋を埋めるべきでしょう。
場合によっては、入居時の権利金、保証金、仲介料を大家さんが譲歩してでも契約にこぎつけることです。
すでに郊外や地方では「すべてゼロ」のアパートが出てきています。
それどころか、「フリーレント」、つまり当初の1~3カ月は家賃ゼロというのもあります。
実際のところ、ビル経営ではすでにフリーレントの物件が出てきています。
「そこまでしなくては入居者を確保できないのか?」と大家さんは不安になりますが、手段の一つとして、フリーレントについても考慮しましょう。
もし、既存のお客様から「自分も安くしてくれ」と言われたら、次の契約更新時に対応すればいいのです。「安くしないと出ていく」なんて言われてしまうことはないでしょう。
なぜなら、お客様も退出するには費用と手間がかかるからです。
まとめ
アパート経営において空室対策の5つをお話しました。
それは
(1)建物が魅力的かどうか?
(2)間取りが入居者のニーズに合っているかどうか?
(3)設備は充実している?
(4)募集の仕方はどうか?
(5)家賃が適正かどうか?
ということでした。
なかでも家賃が適正かどうか?ということが一番重要でしたね。
大家さんであるあなたも、この5つの空室対策を参考にしていただけたら幸いです。